▼ 民法(法人)
次の文章の正誤を答えよ。
権利能力なき社団については、社団の代表者は社団の債務につき責任を負う。


正解 ×
権利能力なき社団の債務については、その構成員は責任を負わない。それは代表者であっても同様である。詳細な解説は以下の通り。
権利能力については以前の一問一答で話をしました。民法というマネーゲームの参加資格です。権利能力は生身の人間である自然人と法律によってお墨付きを受けた団体である法人が有しています。
法人は大きく分けると、自らの営利を目的にする営利法人(株式会社などの各種法人)、社会全体の公益を目的とする公益法人(日本医師会や日本相撲協会など)、その中間的性格の中間法人からなる。このうち民法が扱うのは公益法人である。他の2つは会社法など他の法律に規定を設けている。
公益法人を設立するには、法律の規定に基づき設立手続きを踏むこととともに、主務官庁(担当省庁)の許可が必要となります。
法人の制度が設けられたのは、人の集まりを超えて団体自体が社会的活動をしている場合(例えば、会社がビルのテナントを借りるとき、会社名義で借ります)にその事実に目を向け、団体自体の活動にに法律のお墨付きを与えようとしたことにあります。
伝統的学説は、法人のように、人の集まりを超えて団体自体が社会的活動を営むに至った団体を社団と呼びます。社団法人という言葉を聞いたことがあるでしょう。
しかし、世の中には社団でありながら法人ではないものもあります。法人に成るには主務官庁の許可等の法律の手順を踏む必要があるからです。このような団体を権利能力なき社団といいます。具体例としては、学校の同窓会や趣味の同好会などが挙げられます。
とはいうものの、権利能力なき社団も、団体自体が社会活動を営んでいる点では法人と同じです。
そこで学説や判例は権利能力なき社団をできるかぎり法人と同じ扱いになるよう努めてきました。
そして、法人では構成員の財産と法人自体の財産は別のものとして扱われ、法人の債務について構成員が責任を負うことはありません(一部の会社などではそうとは限りませんが)。
この点については、判例・通説は、権利能力なき社団についても同様に扱うべきとして、構成員は社団の債務について責任を負わないとします。この結論を導き出すための手法として、構成員は団体(社団)の財産について持分や処分権をもたないことにして(この所有形態を総有といいます)社団の財産と構成員の財産を分離しようとしてます。
その他の面でも権利能力なき社団は、なるべく法人と同様に扱おうというのが学説や判例の姿勢ですが、同様に扱えない場合もあります。
それは、団体名義での登記(不動産権利者による名義登録)ができるかについてです。法人名義での登記はできますが、権利能力なき社団名義の登記はできません。なぜなら、権利能力なき社団は法律に定める手続など不要で私的に勝手に設立できるものですから、権利能力なき社団による登記を認めてしまうと、実態のない団体による登記が横行するおそれがあるからです。
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権利能力なき社団については、社団の代表者は社団の債務につき責任を負う。
正解 ×
権利能力なき社団の債務については、その構成員は責任を負わない。それは代表者であっても同様である。詳細な解説は以下の通り。
権利能力については以前の一問一答で話をしました。民法というマネーゲームの参加資格です。権利能力は生身の人間である自然人と法律によってお墨付きを受けた団体である法人が有しています。
法人は大きく分けると、自らの営利を目的にする営利法人(株式会社などの各種法人)、社会全体の公益を目的とする公益法人(日本医師会や日本相撲協会など)、その中間的性格の中間法人からなる。このうち民法が扱うのは公益法人である。他の2つは会社法など他の法律に規定を設けている。
公益法人を設立するには、法律の規定に基づき設立手続きを踏むこととともに、主務官庁(担当省庁)の許可が必要となります。
法人の制度が設けられたのは、人の集まりを超えて団体自体が社会的活動をしている場合(例えば、会社がビルのテナントを借りるとき、会社名義で借ります)にその事実に目を向け、団体自体の活動にに法律のお墨付きを与えようとしたことにあります。
伝統的学説は、法人のように、人の集まりを超えて団体自体が社会的活動を営むに至った団体を社団と呼びます。社団法人という言葉を聞いたことがあるでしょう。
しかし、世の中には社団でありながら法人ではないものもあります。法人に成るには主務官庁の許可等の法律の手順を踏む必要があるからです。このような団体を権利能力なき社団といいます。具体例としては、学校の同窓会や趣味の同好会などが挙げられます。
とはいうものの、権利能力なき社団も、団体自体が社会活動を営んでいる点では法人と同じです。
そこで学説や判例は権利能力なき社団をできるかぎり法人と同じ扱いになるよう努めてきました。
そして、法人では構成員の財産と法人自体の財産は別のものとして扱われ、法人の債務について構成員が責任を負うことはありません(一部の会社などではそうとは限りませんが)。
この点については、判例・通説は、権利能力なき社団についても同様に扱うべきとして、構成員は社団の債務について責任を負わないとします。この結論を導き出すための手法として、構成員は団体(社団)の財産について持分や処分権をもたないことにして(この所有形態を総有といいます)社団の財産と構成員の財産を分離しようとしてます。
その他の面でも権利能力なき社団は、なるべく法人と同様に扱おうというのが学説や判例の姿勢ですが、同様に扱えない場合もあります。
それは、団体名義での登記(不動産権利者による名義登録)ができるかについてです。法人名義での登記はできますが、権利能力なき社団名義の登記はできません。なぜなら、権利能力なき社団は法律に定める手続など不要で私的に勝手に設立できるものですから、権利能力なき社団による登記を認めてしまうと、実態のない団体による登記が横行するおそれがあるからです。
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▼ 法律の解釈の方法
憲法や民法などの具体的な法を学ぶ前提として、一般的な法学の知識がなければなりません。たまには、そういった一般法学の話もやっていきましょう。
今日は法律解釈の話です。裁判官は事件に法を解釈し、適用して解決していきますが、常に機械的に事件に法を解釈・適用しているとは限りません。実際の事件は複雑なものですから、常に法を機械的に解釈・適用しているだけでは事件を解決できなかったり、結論が妥当でないと言う場合もでてくるからです。したがって法の解釈の場面では、裁判官がある程度臨機応変に法の解釈に主観的な意図を盛り込んで解釈する場合がでてきます。
以下のものは代表的なほうの解釈の方法です。
「玄関に靴をきちんとそろえて置かないものからは、100円を罰金としてとる」との法律を仮に作った場合を具体例に考えてみる。
(1)拡張解釈
法文中の言葉を通常の意味以上に解釈して解釈する方法
サンダルをそろえて置かないものがいた場合に、「靴」にサンダルを含めて法律を適用する。
(2)縮小解釈
法の言葉そのままの意味から狭めて解釈する方法
スニーカーをそろえて置かないものについて、「靴」にスニーカーを含まないとして上の法律を適用しない。
(3)類推解釈
ある事項について法の規定がない場合、類似の規定を適用する手法
サンダルをそろえて置かないものについて、「靴」にはサンダルが含まれないが、法の目的が玄関をきちんとすることにあるから、玄関をきちんとするためにはサンダルをそろえない場合にも上の法律を適用する。
(4)反対解釈
ある事項について法の規定がない場合には、類似の規定は適用しないとの手法
上の法律が「靴」と限定している以上、サンダルや下駄は含まれない。
なお、刑罰法規については、不当な国民の人権侵害を防ぐため被告人に不利な類推解釈は禁止されています。
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今日は法律解釈の話です。裁判官は事件に法を解釈し、適用して解決していきますが、常に機械的に事件に法を解釈・適用しているとは限りません。実際の事件は複雑なものですから、常に法を機械的に解釈・適用しているだけでは事件を解決できなかったり、結論が妥当でないと言う場合もでてくるからです。したがって法の解釈の場面では、裁判官がある程度臨機応変に法の解釈に主観的な意図を盛り込んで解釈する場合がでてきます。
以下のものは代表的なほうの解釈の方法です。
「玄関に靴をきちんとそろえて置かないものからは、100円を罰金としてとる」との法律を仮に作った場合を具体例に考えてみる。
(1)拡張解釈
法文中の言葉を通常の意味以上に解釈して解釈する方法
サンダルをそろえて置かないものがいた場合に、「靴」にサンダルを含めて法律を適用する。
(2)縮小解釈
法の言葉そのままの意味から狭めて解釈する方法
スニーカーをそろえて置かないものについて、「靴」にスニーカーを含まないとして上の法律を適用しない。
(3)類推解釈
ある事項について法の規定がない場合、類似の規定を適用する手法
サンダルをそろえて置かないものについて、「靴」にはサンダルが含まれないが、法の目的が玄関をきちんとすることにあるから、玄関をきちんとするためにはサンダルをそろえない場合にも上の法律を適用する。
(4)反対解釈
ある事項について法の規定がない場合には、類似の規定は適用しないとの手法
上の法律が「靴」と限定している以上、サンダルや下駄は含まれない。
なお、刑罰法規については、不当な国民の人権侵害を防ぐため被告人に不利な類推解釈は禁止されています。
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次の文章の正誤を答えよ。
法律留保の原則において、国民の権利や財産を侵害する場合に法律の根拠を要するとの見解については、行政活動の機動性が失われるとの批判がある。(正解はすぐ下)




正解 ×
行政活動の機動性が失われるとの批判を受けるのは、設問に挙げた侵害留保説ではなく全部留保説である。
以下詳細な解説をしていきます。法律による行政の原理というものがあります。これは行政活動は国会の定める法律に基づき、法律に従って行なわれなければならないとする原理である。この原理は2つの理念に基づく。民主主義の理念と自由主義の理念である。行政活動を、国民の代表者の作ったルールである法律に従わせることは民主主義にかなうといえるからです。また、行政活動の暴走を法律が制御することは国民の自由を守ることにつながるからです。この原理は行政法の基本原理なのできっちり押さえましょう。
そして法律に基づく行政の原理は、具体的に言うと3つの原則からなります。1つ目は法律優位の原則、2つ目は本問で出題された法律留保の原則、3つ目は法規創造力の原則です。これらはいずれも法律と行政活動に関連する原則です。ここで、法律を線路、行政活動を電車に例えて話を進めていきましょう。
法律優位の原則とは、存在している法律に違反して行政活動を行なってはならないとする原則です。電車は線路を走っているかぎり脱線してはならないと言うことです。この原則はあくまで法律の存在している領域でのみ問題となるが、法律が存在しているかぎりあらゆる行政活動に妥当するものである。線路のある場所でしか脱線は問題とならないが、線路を走っているかぎりどんな電車でも脱線は許されません。
2つ目は法律留保の原則です。法律の根拠がなく行政活動は出来ないとする原則です。電車は線路のないところを走ってはいけないということです。
しかし、いかなる行政活動を行なうのも法律のお墨付きがないとできないのも問題です。例えば極端な話、役所の事務のねえちゃんが文房具一つ買うのにも法律の規定がないとできないのでは業務が滞ってしまいます。そこで、どの範囲で法律の根拠が必要か、学説上争いが生じます。主な学説は3つあります。
ア.侵害留保説(設問の学説)
国民の権利や財産を侵害する行政活動の場合にのみ法律の根拠を要求する学説です。自由主義の理念を強調し、国民の権利侵害の場合に法律の根拠を要求しました。しかし、3つの学説の中では、法律の根拠を要求する範囲が最も狭いので、法律による行政の原理を全うできないとの批判があります。
イ.権力留保説
公権力の行使といえる行政活動について法律の根拠を要求する学説です。一般国民ではなしえない行政機関による権力行使といえる場合には、たとえ権利侵害がなくても法律の根拠は必要とされます。
ウ.全部留保説
全ての行政活動に法律の根拠を要求する学説です。法律による行政の原理をまっとうすることはできますが、法律の根拠がなく行政活動が滞るおそれが3つの学説の中で一番高くなります。そのため、行政活動の機動性が失われるとの批判を受けます(設問参照)。
こんなところで法律留保の原則の話を終わりたいと思います。
3つ目は法規創造力の原則です。 世の中の一般ルール(法規)を作る権限は、国民の代表機関である国会が法律と言う形で作らなければならず、行政機関はこれを作ることが出来ないとする原則である。線路を敷くのは国会がしなければならず、行政機関が勝手に線路を敷いてはいけないということです。
話は長くなりましたが、今日はこんなところで。
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法律留保の原則において、国民の権利や財産を侵害する場合に法律の根拠を要するとの見解については、行政活動の機動性が失われるとの批判がある。(正解はすぐ下)
正解 ×
行政活動の機動性が失われるとの批判を受けるのは、設問に挙げた侵害留保説ではなく全部留保説である。
以下詳細な解説をしていきます。法律による行政の原理というものがあります。これは行政活動は国会の定める法律に基づき、法律に従って行なわれなければならないとする原理である。この原理は2つの理念に基づく。民主主義の理念と自由主義の理念である。行政活動を、国民の代表者の作ったルールである法律に従わせることは民主主義にかなうといえるからです。また、行政活動の暴走を法律が制御することは国民の自由を守ることにつながるからです。この原理は行政法の基本原理なのできっちり押さえましょう。
そして法律に基づく行政の原理は、具体的に言うと3つの原則からなります。1つ目は法律優位の原則、2つ目は本問で出題された法律留保の原則、3つ目は法規創造力の原則です。これらはいずれも法律と行政活動に関連する原則です。ここで、法律を線路、行政活動を電車に例えて話を進めていきましょう。
法律優位の原則とは、存在している法律に違反して行政活動を行なってはならないとする原則です。電車は線路を走っているかぎり脱線してはならないと言うことです。この原則はあくまで法律の存在している領域でのみ問題となるが、法律が存在しているかぎりあらゆる行政活動に妥当するものである。線路のある場所でしか脱線は問題とならないが、線路を走っているかぎりどんな電車でも脱線は許されません。
2つ目は法律留保の原則です。法律の根拠がなく行政活動は出来ないとする原則です。電車は線路のないところを走ってはいけないということです。
しかし、いかなる行政活動を行なうのも法律のお墨付きがないとできないのも問題です。例えば極端な話、役所の事務のねえちゃんが文房具一つ買うのにも法律の規定がないとできないのでは業務が滞ってしまいます。そこで、どの範囲で法律の根拠が必要か、学説上争いが生じます。主な学説は3つあります。
ア.侵害留保説(設問の学説)
国民の権利や財産を侵害する行政活動の場合にのみ法律の根拠を要求する学説です。自由主義の理念を強調し、国民の権利侵害の場合に法律の根拠を要求しました。しかし、3つの学説の中では、法律の根拠を要求する範囲が最も狭いので、法律による行政の原理を全うできないとの批判があります。
イ.権力留保説
公権力の行使といえる行政活動について法律の根拠を要求する学説です。一般国民ではなしえない行政機関による権力行使といえる場合には、たとえ権利侵害がなくても法律の根拠は必要とされます。
ウ.全部留保説
全ての行政活動に法律の根拠を要求する学説です。法律による行政の原理をまっとうすることはできますが、法律の根拠がなく行政活動が滞るおそれが3つの学説の中で一番高くなります。そのため、行政活動の機動性が失われるとの批判を受けます(設問参照)。
こんなところで法律留保の原則の話を終わりたいと思います。
3つ目は法規創造力の原則です。 世の中の一般ルール(法規)を作る権限は、国民の代表機関である国会が法律と言う形で作らなければならず、行政機関はこれを作ることが出来ないとする原則である。線路を敷くのは国会がしなければならず、行政機関が勝手に線路を敷いてはいけないということです。
話は長くなりましたが、今日はこんなところで。
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4.詐欺(96条)
今回は、詐欺に基づく意思表示の話をします。まあ、詐欺と言う言葉は、日常用語にもなっていますし、イメージはつけやすいでしょう。具体例をあげるなら、Aが、「お前の持っている時計は偽物のROLEXの時計だ」と時計屋Bに言われて、偽物ならと安く時計屋に売ったところ、実は本物であったような場合です。
ところで、前回までは法律行為の形成過程にエラーのある場合のうち、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤という効果意思と表示行為が内容的に一致しない場合(意思の欠缺)の場合についてお話をしました。
詐欺に基づく意思表示はこれとは異なり、実際に騙されてはいるものの、具体例を見て分かるとおり、実際に時計を売る気になっていますので効果意思はあるといえます。つまり、効果意思と表示行為は内容的に一致しているのです。しかし、やはり常識的に考えて騙された人Aを守ってやるためのなんらかの手立てを取ってやる(この場合、売買がなかったことにしてやる)必要が出てくるのです。
民法は詐欺に基づく意思表示は原則として取消すことが出来るとしています(96条1項)。取消という言葉は初めて出てきました。意思の欠缺つまり、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤に基づく意思表示は一定の場合無効だと言いましたが、取消と無効はどう違うのでしょうか。
無効は誰がなんと言おうと、法律が一律かつ強制的に法律行為の存在を削除してしまいますが、取消は意思表示をした者に法律行為の存在を消去するかしないかの選択権を与えてくれます。あくまで意思表示をしたものが法律行為の削除を希望しない場合には、そのまま存続させることが出来るというのが取消の無効の場合とは異なる特徴です。
まあ、他にも取消と無効については違いを論じたいところなんですけど、話が逸れるといけないのでこの辺で話を戻します。
詐欺も意思の欠缺の場合と同様法律行為の形成過程に不完全さがある場合ですが、効果意思と表示行為が一致しているだけまだましなんです。だから、強制削除するほどないので、削除するかどうかは表意者に任せようということです。
以上より詐欺に基づく意思表示は原則として取り消すことが出来ますが、例外的に取り消せなくなる場合はないのでしょうか。
時計屋BがROLEXの時計を手に入れた後、C(第三者)に転売していた場合などどうでしょうか。この場合、Aは「AB間の売買を取消して、時計を取り戻したい」と思うでしょうし、C(第三者)としては「せっかくBから買った時計をAに返したくない」と思うでしょう。どっちの主張を認めるべきですか?
この場合の処理について、96条3項は、「詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。」 としてます。この具体例で言えばCがAB間の詐欺の事実を知らない場合、Aは取り消しを主張できないことになります。
以上をまとめますと、詐欺に基づく意思表示は取消することができるが、善意の第三者には取消を主張できないということになる。
今回は、詐欺を行なったものが法律行為(例の中では売買)の相手方でしたが、詐欺を行なったのが相手方以外の者だった場合どうなるのか、これは次回やりましょう。
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今回は、詐欺に基づく意思表示の話をします。まあ、詐欺と言う言葉は、日常用語にもなっていますし、イメージはつけやすいでしょう。具体例をあげるなら、Aが、「お前の持っている時計は偽物のROLEXの時計だ」と時計屋Bに言われて、偽物ならと安く時計屋に売ったところ、実は本物であったような場合です。
ところで、前回までは法律行為の形成過程にエラーのある場合のうち、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤という効果意思と表示行為が内容的に一致しない場合(意思の欠缺)の場合についてお話をしました。
詐欺に基づく意思表示はこれとは異なり、実際に騙されてはいるものの、具体例を見て分かるとおり、実際に時計を売る気になっていますので効果意思はあるといえます。つまり、効果意思と表示行為は内容的に一致しているのです。しかし、やはり常識的に考えて騙された人Aを守ってやるためのなんらかの手立てを取ってやる(この場合、売買がなかったことにしてやる)必要が出てくるのです。
民法は詐欺に基づく意思表示は原則として取消すことが出来るとしています(96条1項)。取消という言葉は初めて出てきました。意思の欠缺つまり、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤に基づく意思表示は一定の場合無効だと言いましたが、取消と無効はどう違うのでしょうか。
無効は誰がなんと言おうと、法律が一律かつ強制的に法律行為の存在を削除してしまいますが、取消は意思表示をした者に法律行為の存在を消去するかしないかの選択権を与えてくれます。あくまで意思表示をしたものが法律行為の削除を希望しない場合には、そのまま存続させることが出来るというのが取消の無効の場合とは異なる特徴です。
まあ、他にも取消と無効については違いを論じたいところなんですけど、話が逸れるといけないのでこの辺で話を戻します。
詐欺も意思の欠缺の場合と同様法律行為の形成過程に不完全さがある場合ですが、効果意思と表示行為が一致しているだけまだましなんです。だから、強制削除するほどないので、削除するかどうかは表意者に任せようということです。
以上より詐欺に基づく意思表示は原則として取り消すことが出来ますが、例外的に取り消せなくなる場合はないのでしょうか。
時計屋BがROLEXの時計を手に入れた後、C(第三者)に転売していた場合などどうでしょうか。この場合、Aは「AB間の売買を取消して、時計を取り戻したい」と思うでしょうし、C(第三者)としては「せっかくBから買った時計をAに返したくない」と思うでしょう。どっちの主張を認めるべきですか?
この場合の処理について、96条3項は、「詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。」 としてます。この具体例で言えばCがAB間の詐欺の事実を知らない場合、Aは取り消しを主張できないことになります。
以上をまとめますと、詐欺に基づく意思表示は取消することができるが、善意の第三者には取消を主張できないということになる。
今回は、詐欺を行なったものが法律行為(例の中では売買)の相手方でしたが、詐欺を行なったのが相手方以外の者だった場合どうなるのか、これは次回やりましょう。
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次の文章の正誤を答えよ。
幸福追求権が保障する権利の範囲については,散歩,自動車の運転などのあらゆる生活領域における行為の自由を保障していると解するのが通説である。




正解 ×
憲法には多くの人権規定がありますが、それだけで国民の幸せを守るのに十分とはいえません。憲法制定当初に必要そうなものを挙げているに過ぎませんので、時代とともにあらたに必要な人権が当然出てくるでしょう。
そのようなものをおよそカバーしてくれているのが、憲法13条の幸福追求権です。このようなことから、幸福追求権は人権の包括的規定といわれています。
幸福追求権が保障される範囲には学説上争いがあります。1つ目の学説が設問にあるようなあらゆる生活領域の行為の自由を保障する一般的自由説といわれる学説です。この説によれば、人権として認められる範囲が広くなり、髪形の自由、バイクに乗る自由など高校生が主張しそうなものまで幸福追求権の内容として認められます。
これに対して、人格的生存に必要不可欠なもののみしか13条の保障が及ばないとする人格的利益説があります。要は、人間らしく生きていくために欠くことのできないものしか保障しないとする説です。
そして、後者の人格的利益説が判例・通説となっています。
ちなみに判例は今までのところ、プライバシー権、名誉権、肖像権などを実質的に認めている。
今日は比較的平易な問題だったんじゃないでしょうか。
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幸福追求権が保障する権利の範囲については,散歩,自動車の運転などのあらゆる生活領域における行為の自由を保障していると解するのが通説である。
正解 ×
憲法には多くの人権規定がありますが、それだけで国民の幸せを守るのに十分とはいえません。憲法制定当初に必要そうなものを挙げているに過ぎませんので、時代とともにあらたに必要な人権が当然出てくるでしょう。
そのようなものをおよそカバーしてくれているのが、憲法13条の幸福追求権です。このようなことから、幸福追求権は人権の包括的規定といわれています。
幸福追求権が保障される範囲には学説上争いがあります。1つ目の学説が設問にあるようなあらゆる生活領域の行為の自由を保障する一般的自由説といわれる学説です。この説によれば、人権として認められる範囲が広くなり、髪形の自由、バイクに乗る自由など高校生が主張しそうなものまで幸福追求権の内容として認められます。
これに対して、人格的生存に必要不可欠なもののみしか13条の保障が及ばないとする人格的利益説があります。要は、人間らしく生きていくために欠くことのできないものしか保障しないとする説です。
そして、後者の人格的利益説が判例・通説となっています。
ちなみに判例は今までのところ、プライバシー権、名誉権、肖像権などを実質的に認めている。
今日は比較的平易な問題だったんじゃないでしょうか。
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憲法は、民法や行政法に比べて条文数が圧倒的に少ないです(103条しかない)。しかも、なんと言っても国家の最高法規(法律や命令、条例などの世の中の様々なルールの中で最優先される)です。憲法の条文を覚えておくことは、特に統治分野では必須と言えます。
したがって、今日からは憲法の条文チェックもやっていきましょう。
今回は「国会編・前編(41条〜57条)」です。
さあ、下の条文の空欄に入る語句を入れてみてください。
第41条
国会は、国権の(1)であつて、国の唯一の(2)機関である。
第42条
国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第43条
両議院は、(3)を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、(4)でこれを定める。
第44条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、(5)でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社 会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第45条
衆議院議員の任期は、(6)年とする。但し、(7)の場合には、その期間満了前に終了す る。
第46条
参議院議員の任期は、(8)年とし、(9)年ごとに議員の半数を改選する。
第47条
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、(10)でこれを定める。
第48条
何人も、同時に(11)の議員たることはできない。
第49条
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の(12)を受ける。
第50条
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の(13)逮捕されず、(14)に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第51条
両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、(15)で責任を問はれない。
第52条
国会の(16)は、毎年一回これを召集する。
第53条
内閣は、国会の(17)の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の(18)以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第54条
衆議院が解散されたときは、解散の日から(19)日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から(20)日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の(21)を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後(22)日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第55条
両議院は、各々その議員の(23)に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の(24)以上の多数による議決を必要とする。
第56条
両議院は、各々その総議員の(25)以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の(26)でこれを決し、可否同数のときは、(27)の決するところによる。
第57条
両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の(28)以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の(29)以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
お疲れ様でした。解答はすぐ下です。




解答編
1.最高 2.立法 3.全国民 4.法律 5.法律 6.4 7.衆議院解散 8.6 9.3 10.法律 11.両議院 12.歳費 13.会期中 14.会期前 15.院外 16.常会 17.臨時会 18.4分の1 19.40 20.30 21.緊急集会 22.10 23.議員の資格 24.3分の2 25.3分の1 26.過半数 27.議長 28.3分の2 29.5分の1
おすすめの六法
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したがって、今日からは憲法の条文チェックもやっていきましょう。
今回は「国会編・前編(41条〜57条)」です。
さあ、下の条文の空欄に入る語句を入れてみてください。
第41条
国会は、国権の(1)であつて、国の唯一の(2)機関である。
第42条
国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第43条
両議院は、(3)を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、(4)でこれを定める。
第44条
両議院の議員及びその選挙人の資格は、(5)でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社 会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
第45条
衆議院議員の任期は、(6)年とする。但し、(7)の場合には、その期間満了前に終了す る。
第46条
参議院議員の任期は、(8)年とし、(9)年ごとに議員の半数を改選する。
第47条
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、(10)でこれを定める。
第48条
何人も、同時に(11)の議員たることはできない。
第49条
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の(12)を受ける。
第50条
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の(13)逮捕されず、(14)に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第51条
両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、(15)で責任を問はれない。
第52条
国会の(16)は、毎年一回これを召集する。
第53条
内閣は、国会の(17)の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の(18)以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第54条
衆議院が解散されたときは、解散の日から(19)日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から(20)日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の(21)を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後(22)日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第55条
両議院は、各々その議員の(23)に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の(24)以上の多数による議決を必要とする。
第56条
両議院は、各々その総議員の(25)以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の(26)でこれを決し、可否同数のときは、(27)の決するところによる。
第57条
両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の(28)以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の(29)以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
お疲れ様でした。解答はすぐ下です。
解答編
1.最高 2.立法 3.全国民 4.法律 5.法律 6.4 7.衆議院解散 8.6 9.3 10.法律 11.両議院 12.歳費 13.会期中 14.会期前 15.院外 16.常会 17.臨時会 18.4分の1 19.40 20.30 21.緊急集会 22.10 23.議員の資格 24.3分の2 25.3分の1 26.過半数 27.議長 28.3分の2 29.5分の1
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3.錯誤(95条)
今回は意思表示の過程にエラーがある場合の第三弾、錯誤(さくご)です。前述の如く法律行為は動機⇒効果意思⇒表示意思⇒表示行為という過程を経てなされるのですが、錯誤の場合は、効果意思がないにもかかわらず、そのことを認識せずして表示行為を行った場合です。効果意思がないにもかかわらず、表示行為を行う点は心裡留保と同じなのですが、心裡留保とは、効果意思と表示が不一致であることを、本人が自覚していない点が異なります。
具体例をあげますと、Aさんが果物屋でりんごを見てそれを気に入り、値札が¥60となっていると思い、「このりんごを買います」と果物屋に告げたところ、よく見たら$60になっていたような場合です。簡単に言うと、錯誤とは勘違いのことです。
果物屋としては「買うといった以上約束どおり買え!(売買は有効)」と主張するであろうし、Aさんとしては「勘違いしてたんだから、発言はなかったことにしてくれ(売買は無効)」と言うでしょう。ではどうこの問題を解決させるべきでしょうか?
結論から言うと、錯誤に基づく法律行為は、一定の場合無効になります。
ただし、表意者(A)がなんでも「勘違いしてたんだからなしにしてくれ」と言って言ったことから責任逃れをすることは、相手方(果物屋)にとってはたまったものではありません。そのため、ある程度錯誤無効を認める場合を限定しなければなりません。
民法は法律行為の要素に錯誤がある場合に限って無効を主張できるとしています。つまり、勘違いが些細な部分にすぎない場合(例:りんご傷一つないと思って買ったら、小さな傷がひとつだけあった)には錯誤無効を主張できないが、ある程度重要な部分に勘違いが存在している場合には錯誤無効を主張できることになります。上の事例のように、円とドルを間違えた場合なんかはまさに重要な部分に勘違いがある場合と言え、まさに法律行為の要素に錯誤がある場合に該当します。
しかし、ある程度重要な部分に勘違いがあるとしても、あまりにも表意者がドジな勘違いをしていた場合、相手方としては錯誤無効を主張されるのは納得いかないでしょう。ちなみに表意者のうっかりの度合いが甚だしいことを重過失といいます。具体例を挙げるとすると、すいかを買うつもりで間違ってりんごを買ったような場合です(明らかに色も大きさも異なるのに間違える人はよほどのドジです)。どうみても落ち度があるのは表意者(A)でしょうから、錯誤無効を認めるべきではないのです。
以上からまとめると、法律行為の要素に錯誤がある場合には法律行為は無効となるが、表意者に重過失ある場合には無効の主張が出来ないということになります。
これで、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤の3つをやりましたが、3つともある共通点があります。それはいずれも効果意思と表示行為の内容が不一致であることです。このような場合を意思の欠缺(けんけつ)と言います。
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今回は意思表示の過程にエラーがある場合の第三弾、錯誤(さくご)です。前述の如く法律行為は動機⇒効果意思⇒表示意思⇒表示行為という過程を経てなされるのですが、錯誤の場合は、効果意思がないにもかかわらず、そのことを認識せずして表示行為を行った場合です。効果意思がないにもかかわらず、表示行為を行う点は心裡留保と同じなのですが、心裡留保とは、効果意思と表示が不一致であることを、本人が自覚していない点が異なります。
具体例をあげますと、Aさんが果物屋でりんごを見てそれを気に入り、値札が¥60となっていると思い、「このりんごを買います」と果物屋に告げたところ、よく見たら$60になっていたような場合です。簡単に言うと、錯誤とは勘違いのことです。
果物屋としては「買うといった以上約束どおり買え!(売買は有効)」と主張するであろうし、Aさんとしては「勘違いしてたんだから、発言はなかったことにしてくれ(売買は無効)」と言うでしょう。ではどうこの問題を解決させるべきでしょうか?
結論から言うと、錯誤に基づく法律行為は、一定の場合無効になります。
ただし、表意者(A)がなんでも「勘違いしてたんだからなしにしてくれ」と言って言ったことから責任逃れをすることは、相手方(果物屋)にとってはたまったものではありません。そのため、ある程度錯誤無効を認める場合を限定しなければなりません。
民法は法律行為の要素に錯誤がある場合に限って無効を主張できるとしています。つまり、勘違いが些細な部分にすぎない場合(例:りんご傷一つないと思って買ったら、小さな傷がひとつだけあった)には錯誤無効を主張できないが、ある程度重要な部分に勘違いが存在している場合には錯誤無効を主張できることになります。上の事例のように、円とドルを間違えた場合なんかはまさに重要な部分に勘違いがある場合と言え、まさに法律行為の要素に錯誤がある場合に該当します。
しかし、ある程度重要な部分に勘違いがあるとしても、あまりにも表意者がドジな勘違いをしていた場合、相手方としては錯誤無効を主張されるのは納得いかないでしょう。ちなみに表意者のうっかりの度合いが甚だしいことを重過失といいます。具体例を挙げるとすると、すいかを買うつもりで間違ってりんごを買ったような場合です(明らかに色も大きさも異なるのに間違える人はよほどのドジです)。どうみても落ち度があるのは表意者(A)でしょうから、錯誤無効を認めるべきではないのです。
以上からまとめると、法律行為の要素に錯誤がある場合には法律行為は無効となるが、表意者に重過失ある場合には無効の主張が出来ないということになります。
これで、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤の3つをやりましたが、3つともある共通点があります。それはいずれも効果意思と表示行為の内容が不一致であることです。このような場合を意思の欠缺(けんけつ)と言います。
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▼ 公法と私法
次の文章の正誤を答えよ。
普通地方公共団体の議会の議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,当該普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がない限り,譲渡することができる。


正解 ○
判例(最判昭53・2・23)は,議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,公法上の権利であっても,それが法律上特定の者に専属する性質のものとされているのではなく,移転が予定されている場合には,その譲渡性を否定する理由はないから,普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がないかぎり,譲渡することができるとした。
なお、行政上の法律関係について、伝統的な学説である公法私法二分論は、民法等私法が適用される範囲を明確に確定しようと試みたが、この学説は支持を失っている。現在では行政上の法律関係を、機械的に公法関係と私法関係に二分せず、個々の事例をケースバイケースで考察して、妥当な法規範を適用して結論を導くという考え方が主流である。
このように民法等私法が行政上の法律関係に適用されるかはケースバイケースとすると、実際に判例でどのケースに民法の適用があるのか一つ一つ確認しなければならない。主要な判例は以下の通りである。
・租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の適用は特別の事情があればありうる(S62.10.30)。
・農地買収処分に民法177条の適用はない(S28.2.18)。
・租税滞納処分に伴う差押に民法177条の適用はある(S31.4.24)。
・国の安全配慮義務の債務不履行責任については民法167条1項の10年の時効、会計法30条の5年の時効の規定のうち前者が適用される(S41.11.1)。
・公営住宅の使用関係について、民法上の法理である信頼関係の法理の適用はある(S55. 11.13)。
・公共用財産に対して時効取得できるかについては、黙示の公用の廃止があればできる (S51.12.24)。
・村道の通行を妨害している者に対する不法行為に基づく妨害排除請求はできる(S39.1.16)。
・議員報酬請求権は特別な禁止規定がない限り債権譲渡できる(S53.2.23)。
・耐火構造の建物について民法234条と建築基準法65条については、後者が優先して適用される(H1.9.19)。
まあ、このあたりの詳細は民法の知識あってこそ理解できる部分ですので、今は結論を押さえておくことでよろしいでしょう。
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普通地方公共団体の議会の議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,当該普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がない限り,譲渡することができる。
正解 ○
判例(最判昭53・2・23)は,議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,公法上の権利であっても,それが法律上特定の者に専属する性質のものとされているのではなく,移転が予定されている場合には,その譲渡性を否定する理由はないから,普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がないかぎり,譲渡することができるとした。
なお、行政上の法律関係について、伝統的な学説である公法私法二分論は、民法等私法が適用される範囲を明確に確定しようと試みたが、この学説は支持を失っている。現在では行政上の法律関係を、機械的に公法関係と私法関係に二分せず、個々の事例をケースバイケースで考察して、妥当な法規範を適用して結論を導くという考え方が主流である。
このように民法等私法が行政上の法律関係に適用されるかはケースバイケースとすると、実際に判例でどのケースに民法の適用があるのか一つ一つ確認しなければならない。主要な判例は以下の通りである。
・租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の適用は特別の事情があればありうる(S62.10.30)。
・農地買収処分に民法177条の適用はない(S28.2.18)。
・租税滞納処分に伴う差押に民法177条の適用はある(S31.4.24)。
・国の安全配慮義務の債務不履行責任については民法167条1項の10年の時効、会計法30条の5年の時効の規定のうち前者が適用される(S41.11.1)。
・公営住宅の使用関係について、民法上の法理である信頼関係の法理の適用はある(S55. 11.13)。
・公共用財産に対して時効取得できるかについては、黙示の公用の廃止があればできる (S51.12.24)。
・村道の通行を妨害している者に対する不法行為に基づく妨害排除請求はできる(S39.1.16)。
・議員報酬請求権は特別な禁止規定がない限り債権譲渡できる(S53.2.23)。
・耐火構造の建物について民法234条と建築基準法65条については、後者が優先して適用される(H1.9.19)。
まあ、このあたりの詳細は民法の知識あってこそ理解できる部分ですので、今は結論を押さえておくことでよろしいでしょう。
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民法の意思表示の話を再開しましょう。
2.通謀虚偽表示(94条)
上に挙げた心裡留保は、いわゆる嘘付きということでしたが、通謀虚偽表示は法律行為の当事者双方が示し合わせて(通謀して)嘘をついている場合です。
具体例を挙げるとすると、時計屋は実際にはロレックスの時計をAさんには売っていないのに、二人で示し合わせて売ったことにする、と言った場合です。
二人が示し合わせて嘘を言う必要がある事態なんかそもそもあるのか疑問に思うでしょう。しかし、実社会ではよくあることなんです。
例えば、上の事例で言えば時計屋は大きな借金を抱えている。借金取りから毎日支払いの催促を受けている。ロレックスの時計を借金取りに見つかったら取り上げられてしまう。取り上げられないようにAに売ったことにしておく。まあ、このように財産隠しに利用するんですね。では、通謀虚偽表示に基づく法律行為(この場合売買)をどう扱ったらいいのでしょうか?
売買の両当事者である時計屋もAも真に売買する意思(効果意思)がないため、売買を有効にして、代金を支払うことや時計を渡すことを法的に強制する必要はありません。
つまり通謀虚偽表示に基づく法律行為は原則として無効になります(94条1項)。
しかしこれはあくまで原則であって、常に法律行為が無効になるとは限りません。では例外的に法律行為が有効になるのはどんな場合でしょうか?
たとえば、時計屋からAに時計を売ったことに対外的になっているのをいいことに、Aが友人Bに時計をまた売り(転売)してしまう場合です。この場合、時計屋は「時計はAに売っていないから依然として自分のもの」と主張するでしょうし、Bは「Aから時計を買ったんだから時計は私のものと主張するでしょう。では、時計屋とBどちらの主張が認められるのでしょうか?
ちなみに通謀虚偽表示に基づく法律行為の当事者は時計屋とAで、Bは通謀虚偽表示の当事者ではありません。このようなBを第三者といいます。
結論から言いますと、Bが善意の場合に限ってBの主張が認められます(94条2項)。BがAB間の売買が通謀虚偽表示であると知らなければ、通謀虚偽表示をした者に責任を負わせるべきだからです。逆にBがAB間の売買が通謀虚偽表示であると知っていればBの主張を認めるべきでないからです。
以上より通謀虚偽表示に基づく法律行為は原則無効だが、善意の第三者に対しては、無効を主張できないということになります。
このように民法94条2項は通謀虚偽表示の善意の第三者を保護しているのですが、民法はこれ以外にも虚偽の権利関係を真実と信じた者を保護する規定を多く設けています(110条、192条などなど)。このような一般ルールを権利外観法理といいます。この言葉は早いうちに覚えておくと便利です。
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2.通謀虚偽表示(94条)
上に挙げた心裡留保は、いわゆる嘘付きということでしたが、通謀虚偽表示は法律行為の当事者双方が示し合わせて(通謀して)嘘をついている場合です。
具体例を挙げるとすると、時計屋は実際にはロレックスの時計をAさんには売っていないのに、二人で示し合わせて売ったことにする、と言った場合です。
二人が示し合わせて嘘を言う必要がある事態なんかそもそもあるのか疑問に思うでしょう。しかし、実社会ではよくあることなんです。
例えば、上の事例で言えば時計屋は大きな借金を抱えている。借金取りから毎日支払いの催促を受けている。ロレックスの時計を借金取りに見つかったら取り上げられてしまう。取り上げられないようにAに売ったことにしておく。まあ、このように財産隠しに利用するんですね。では、通謀虚偽表示に基づく法律行為(この場合売買)をどう扱ったらいいのでしょうか?
売買の両当事者である時計屋もAも真に売買する意思(効果意思)がないため、売買を有効にして、代金を支払うことや時計を渡すことを法的に強制する必要はありません。
つまり通謀虚偽表示に基づく法律行為は原則として無効になります(94条1項)。
しかしこれはあくまで原則であって、常に法律行為が無効になるとは限りません。では例外的に法律行為が有効になるのはどんな場合でしょうか?
たとえば、時計屋からAに時計を売ったことに対外的になっているのをいいことに、Aが友人Bに時計をまた売り(転売)してしまう場合です。この場合、時計屋は「時計はAに売っていないから依然として自分のもの」と主張するでしょうし、Bは「Aから時計を買ったんだから時計は私のものと主張するでしょう。では、時計屋とBどちらの主張が認められるのでしょうか?
ちなみに通謀虚偽表示に基づく法律行為の当事者は時計屋とAで、Bは通謀虚偽表示の当事者ではありません。このようなBを第三者といいます。
結論から言いますと、Bが善意の場合に限ってBの主張が認められます(94条2項)。BがAB間の売買が通謀虚偽表示であると知らなければ、通謀虚偽表示をした者に責任を負わせるべきだからです。逆にBがAB間の売買が通謀虚偽表示であると知っていればBの主張を認めるべきでないからです。
以上より通謀虚偽表示に基づく法律行為は原則無効だが、善意の第三者に対しては、無効を主張できないということになります。
このように民法94条2項は通謀虚偽表示の善意の第三者を保護しているのですが、民法はこれ以外にも虚偽の権利関係を真実と信じた者を保護する規定を多く設けています(110条、192条などなど)。このような一般ルールを権利外観法理といいます。この言葉は早いうちに覚えておくと便利です。
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▼ 民法(権利能力)
次の文章の正誤を答えよ。
胎児は、損害賠償請求権については、例外的に生まれたものとされるから、慰謝料請求をすることができる。 (正解は下へ)




正解○
ゲームやスポーツには必ずルールがあります。民法は一般社会のマネーゲームのルールです。マネーゲームへの参加者は、民法というルールの範囲内でいかにお金持ちになるかを競っていると仮定します。
そうした場合、このゲームへ参加資格のあることを権利能力といいます。正確に言うと権利義務の帰属主体となりうる資格といったような定義になりますが、まずは正確な定義よりイメージでつかみましょう。
マネーゲームの参加資格である権利能力があるのは、まず生身の人間、いわゆる自然人です。どんなに知能が高い動物がいたとしても人間じゃない限り権利能力は認められません。
自然人とともに権利能力を有するものとしては法人が挙げられます。法人については、別個話をしますので、今のところ構成員から独立して社会活動を営んでいる団体というふうに考えておいてもらいたいと思います。
以上からすると、胎児はいまだ自然人となっていないので、権利能力がないのが原則です。しかし、損害賠償請求権、相続、遺贈(遺言に基づく財産の移転)については胎児も権利能力を有しています(それぞれにつき民法第721条、第886条、第965条)。
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胎児は、損害賠償請求権については、例外的に生まれたものとされるから、慰謝料請求をすることができる。 (正解は下へ)
正解○
ゲームやスポーツには必ずルールがあります。民法は一般社会のマネーゲームのルールです。マネーゲームへの参加者は、民法というルールの範囲内でいかにお金持ちになるかを競っていると仮定します。
そうした場合、このゲームへ参加資格のあることを権利能力といいます。正確に言うと権利義務の帰属主体となりうる資格といったような定義になりますが、まずは正確な定義よりイメージでつかみましょう。
マネーゲームの参加資格である権利能力があるのは、まず生身の人間、いわゆる自然人です。どんなに知能が高い動物がいたとしても人間じゃない限り権利能力は認められません。
自然人とともに権利能力を有するものとしては法人が挙げられます。法人については、別個話をしますので、今のところ構成員から独立して社会活動を営んでいる団体というふうに考えておいてもらいたいと思います。
以上からすると、胎児はいまだ自然人となっていないので、権利能力がないのが原則です。しかし、損害賠償請求権、相続、遺贈(遺言に基づく財産の移転)については胎児も権利能力を有しています(それぞれにつき民法第721条、第886条、第965条)。
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![民法 I [第3版]総則・物権総論](http://ecx.images-amazon.com/images/I/115QSSQ0Y8L.jpg)

![民法 III [第3版] 債権総論・担保物権](http://ecx.images-amazon.com/images/I/113R66DBX3L.jpg)






