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次の文章の正誤を答えよ。
制限能力者が意志能力なくしてなした法律行為は、取消の余地がない。



正解 ×
民法上意思能力を欠く法律行為は無効となり、行為能力を欠く制限能力者の行為は一定の場合取消得る。意志無能力者と制限能力者が重複する場合、いずれを主張してもよいとするのが通説である。詳細な解説は以下の通り。
 
 民法というゲームの参加資格を権利能力といいました。これは以前話した通り、自然人と法人が有しています。
 
 民法に参加しても有効に意思表示をなすことができない者(判断能力のない者)のなした意思表示は無効となる。意思表示のところで表示行為に対応する意思がない場合、無効になると言う話をしましたが、まさにこれと話はかぶります。まともな意思がないから無効なわけです。
 
 しかし、現実社会で法律行為の当時に意思能力がなかったことを証明するのは困難を伴います。
そこであらかじめ判断能力を欠く恐れがある者を登録しておき、一律に法律行為を取消すことができるように制度化しました。これが制限能力者の制度です。スポーツ競技のハンデにあたるものです。逆に、このようなカテゴリーに入らず、有効に単独で法律行為ができる能力を行為能力という。
 
 なぜ制限能力者の行為を無効ではなく取消し得るとしたのは、法律行為が制限能力者に有利な場合もあるから、法律行為をなかったものにするかの選択権を与えたことにある。

 制限能力者に該当する者には未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人があげられる。成年被後見人、被保佐人、被補助人については精神障害により事理弁識能力(簡単に言うと判断能力)に問題がある者であり、精神障害の程度は前者ほど大きく、後者ほど小さい。当然取消得る範囲の行為は前者ほど広く、後者ほど狭い。その具体的な内容は次回やりましょう。なお、これらは、本人や配偶者などの請求により、家庭裁判所の審判を経て認定される。

 では、意思能力も行為能力も両方欠く場合どういう法的処理をすべきか。この点について、無効というものは全く法律行為の存在がなかったことになりますので、ないものを取消ようがないとも言えます。こう考えるならば、意思無能力による無効のみ主張できるという結論になります。

 しかし通説は、意思無能力も行為無能力も、結局意思表示をした者を保護する制度であり、意思無能力による無効、行為無能力による取消、どっちを主張しても構わないとしています。
次の文章の正誤を答えよ。
権利能力なき社団については、社団の代表者は社団の債務につき責任を負う。





正解 ×
 権利能力なき社団の債務については、その構成員は責任を負わない。それは代表者であっても同様である。詳細な解説は以下の通り。

 権利能力については以前の一問一答で話をしました。民法というマネーゲームの参加資格です。権利能力は生身の人間である自然人と法律によってお墨付きを受けた団体である法人が有しています。
 
 法人は大きく分けると、自らの営利を目的にする営利法人(株式会社などの各種法人)、社会全体の公益を目的とする公益法人(日本医師会や日本相撲協会など)、その中間的性格の中間法人からなる。このうち民法が扱うのは公益法人である。他の2つは会社法など他の法律に規定を設けている。
 
 公益法人を設立するには、法律の規定に基づき設立手続きを踏むこととともに、主務官庁(担当省庁)の許可が必要となります。

 法人の制度が設けられたのは、人の集まりを超えて団体自体が社会的活動をしている場合(例えば、会社がビルのテナントを借りるとき、会社名義で借ります)にその事実に目を向け、団体自体の活動にに法律のお墨付きを与えようとしたことにあります。

 伝統的学説は、法人のように、人の集まりを超えて団体自体が社会的活動を営むに至った団体を社団と呼びます。社団法人という言葉を聞いたことがあるでしょう。

 しかし、世の中には社団でありながら法人ではないものもあります。法人に成るには主務官庁の許可等の法律の手順を踏む必要があるからです。このような団体を権利能力なき社団といいます。具体例としては、学校の同窓会や趣味の同好会などが挙げられます。
とはいうものの、権利能力なき社団も、団体自体が社会活動を営んでいる点では法人と同じです。

 そこで学説や判例は権利能力なき社団をできるかぎり法人と同じ扱いになるよう努めてきました。

 そして、法人では構成員の財産と法人自体の財産は別のものとして扱われ、法人の債務について構成員が責任を負うことはありません(一部の会社などではそうとは限りませんが)。
この点については、判例・通説は、権利能力なき社団についても同様に扱うべきとして、構成員は社団の債務について責任を負わないとします。この結論を導き出すための手法として、構成員は団体(社団)の財産について持分や処分権をもたないことにして(この所有形態を総有といいます)社団の財産と構成員の財産を分離しようとしてます。

 その他の面でも権利能力なき社団は、なるべく法人と同様に扱おうというのが学説や判例の姿勢ですが、同様に扱えない場合もあります。

 それは、団体名義での登記(不動産権利者による名義登録)ができるかについてです。法人名義での登記はできますが、権利能力なき社団名義の登記はできません。なぜなら、権利能力なき社団は法律に定める手続など不要で私的に勝手に設立できるものですから、権利能力なき社団による登記を認めてしまうと、実態のない団体による登記が横行するおそれがあるからです。

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次の文章の正誤を答えよ。
 胎児は、損害賠償請求権については、例外的に生まれたものとされるから、慰謝料請求をすることができる。      (正解は下へ)







正解
 ゲームやスポーツには必ずルールがあります。民法は一般社会のマネーゲームのルールです。マネーゲームへの参加者は、民法というルールの範囲内でいかにお金持ちになるかを競っていると仮定します。
 そうした場合、このゲームへ参加資格のあることを権利能力といいます。正確に言うと権利義務の帰属主体となりうる資格といったような定義になりますが、まずは正確な定義よりイメージでつかみましょう。
 マネーゲームの参加資格である権利能力があるのは、まず生身の人間、いわゆる自然人です。どんなに知能が高い動物がいたとしても人間じゃない限り権利能力は認められません。
 自然人とともに権利能力を有するものとしては法人が挙げられます。法人については、別個話をしますので、今のところ構成員から独立して社会活動を営んでいる団体というふうに考えておいてもらいたいと思います。
 以上からすると、胎児はいまだ自然人となっていないので、権利能力がないのが原則です。しかし、損害賠償請求権、相続、遺贈(遺言に基づく財産の移転)については胎児も権利能力を有しています(それぞれにつき民法第721条、第886条、第965条)。

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