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次の文章の正誤を答えよ。(行政書士過去問H10年 問38ー4)
行政庁の裁量行為に属する処分については、取消訴訟の対象とはならない。


解答 × 裁量行為のうち、覊束(きそく)裁量行為については、裁判所の審査の対象になる。すなわち取消訴訟の対象になりえる。裁量行為のうち、自由裁量行為については、裁量権の踰越(ゆえつ)もしくは濫用があった場合について裁判所の審査の対象となる。すなわちこの場合取消訴訟の対象となりえる。詳細な解説は以下の通り。
以前話した行政法の全体像中で、行政法という学問の中心的な部分は行政行為であると申しました。中心的議題だけに行政行為については詳細な分類がなされています。行政行為を行うにあたって行政庁に裁量があるのかという観点からの分類を行っていきます。以下の分類ができます。
1.覊束行為
行政行為をなすにあたって行政庁に裁量権がない場合。すなわち、行政行為が法律の規定によって、詳細かつ明確に規律されているため、行政庁は形式的・機械的に行政行為をなさざるを得ない場合です。
この場合、裁判所は、法律の規定を見れば、行政行為が違法であるか容易に判断できる。よって、肌即行為には裁判所は審査権を有する。
2.裁量行為
行政行為をなすにあたって行政庁になんらかの裁量権がある場合。すなわち行政行為を規律する法律の規定が不明確な規定の仕方をしているため、行政庁に裁量的判断がゆだねられている場合である。たとえば、旅券法と言う法律は、「直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある」人物については、旅券(パスポート)の発行拒否処分ができるとしていますが、何が日本国の利益又は公安を害する行為かは曖昧不明確で結局行政庁の裁量となります。
裁量行為は、覊束裁量行為と自由裁量行為の2つからなります。要は、裁量の大小による分類です。
(1)覊束裁量行為
行政庁に、裁量があるといっても裁量が小さいタイプです。というのも、行政行為を規律する法律がある程度不明確であるが、不明確の度合いが小さく裁判官が客観的基準を設けて行政行為の違法性を判断できる場合です。裁判所の審査権は及びます。
(2)自由裁量行為
行政庁の裁量が大きい場合です。すなわち行政行為を規律する法律の規定の不明確の度合いが大きく、裁判所が客観的な基準を設けることもできない場合です。この場合、裁判所の審査権は原則として及ばず、例外的に裁量権を逸脱(簡単に言うと越権行為)・濫用(権限の範囲内だが不当な目的をもって行政行為を行った場合) と言える場合に限って審査権が及ぶとしている。
結局裁判所の審査権が及ぶかは、覊束裁量行為と自由裁量行為の分類が特に大事になります。次回はこの点を判例を見ながら学習したいと思います。
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行政庁の裁量行為に属する処分については、取消訴訟の対象とはならない。
解答 × 裁量行為のうち、覊束(きそく)裁量行為については、裁判所の審査の対象になる。すなわち取消訴訟の対象になりえる。裁量行為のうち、自由裁量行為については、裁量権の踰越(ゆえつ)もしくは濫用があった場合について裁判所の審査の対象となる。すなわちこの場合取消訴訟の対象となりえる。詳細な解説は以下の通り。
以前話した行政法の全体像中で、行政法という学問の中心的な部分は行政行為であると申しました。中心的議題だけに行政行為については詳細な分類がなされています。行政行為を行うにあたって行政庁に裁量があるのかという観点からの分類を行っていきます。以下の分類ができます。
1.覊束行為
行政行為をなすにあたって行政庁に裁量権がない場合。すなわち、行政行為が法律の規定によって、詳細かつ明確に規律されているため、行政庁は形式的・機械的に行政行為をなさざるを得ない場合です。
この場合、裁判所は、法律の規定を見れば、行政行為が違法であるか容易に判断できる。よって、肌即行為には裁判所は審査権を有する。
2.裁量行為
行政行為をなすにあたって行政庁になんらかの裁量権がある場合。すなわち行政行為を規律する法律の規定が不明確な規定の仕方をしているため、行政庁に裁量的判断がゆだねられている場合である。たとえば、旅券法と言う法律は、「直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある」人物については、旅券(パスポート)の発行拒否処分ができるとしていますが、何が日本国の利益又は公安を害する行為かは曖昧不明確で結局行政庁の裁量となります。
裁量行為は、覊束裁量行為と自由裁量行為の2つからなります。要は、裁量の大小による分類です。
(1)覊束裁量行為
行政庁に、裁量があるといっても裁量が小さいタイプです。というのも、行政行為を規律する法律がある程度不明確であるが、不明確の度合いが小さく裁判官が客観的基準を設けて行政行為の違法性を判断できる場合です。裁判所の審査権は及びます。
(2)自由裁量行為
行政庁の裁量が大きい場合です。すなわち行政行為を規律する法律の規定の不明確の度合いが大きく、裁判所が客観的な基準を設けることもできない場合です。この場合、裁判所の審査権は原則として及ばず、例外的に裁量権を逸脱(簡単に言うと越権行為)・濫用(権限の範囲内だが不当な目的をもって行政行為を行った場合) と言える場合に限って審査権が及ぶとしている。
結局裁判所の審査権が及ぶかは、覊束裁量行為と自由裁量行為の分類が特に大事になります。次回はこの点を判例を見ながら学習したいと思います。
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次の文章の正誤を答えよ。
法律留保の原則において、国民の権利や財産を侵害する場合に法律の根拠を要するとの見解については、行政活動の機動性が失われるとの批判がある。(正解はすぐ下)




正解 ×
行政活動の機動性が失われるとの批判を受けるのは、設問に挙げた侵害留保説ではなく全部留保説である。
以下詳細な解説をしていきます。法律による行政の原理というものがあります。これは行政活動は国会の定める法律に基づき、法律に従って行なわれなければならないとする原理である。この原理は2つの理念に基づく。民主主義の理念と自由主義の理念である。行政活動を、国民の代表者の作ったルールである法律に従わせることは民主主義にかなうといえるからです。また、行政活動の暴走を法律が制御することは国民の自由を守ることにつながるからです。この原理は行政法の基本原理なのできっちり押さえましょう。
そして法律に基づく行政の原理は、具体的に言うと3つの原則からなります。1つ目は法律優位の原則、2つ目は本問で出題された法律留保の原則、3つ目は法規創造力の原則です。これらはいずれも法律と行政活動に関連する原則です。ここで、法律を線路、行政活動を電車に例えて話を進めていきましょう。
法律優位の原則とは、存在している法律に違反して行政活動を行なってはならないとする原則です。電車は線路を走っているかぎり脱線してはならないと言うことです。この原則はあくまで法律の存在している領域でのみ問題となるが、法律が存在しているかぎりあらゆる行政活動に妥当するものである。線路のある場所でしか脱線は問題とならないが、線路を走っているかぎりどんな電車でも脱線は許されません。
2つ目は法律留保の原則です。法律の根拠がなく行政活動は出来ないとする原則です。電車は線路のないところを走ってはいけないということです。
しかし、いかなる行政活動を行なうのも法律のお墨付きがないとできないのも問題です。例えば極端な話、役所の事務のねえちゃんが文房具一つ買うのにも法律の規定がないとできないのでは業務が滞ってしまいます。そこで、どの範囲で法律の根拠が必要か、学説上争いが生じます。主な学説は3つあります。
ア.侵害留保説(設問の学説)
国民の権利や財産を侵害する行政活動の場合にのみ法律の根拠を要求する学説です。自由主義の理念を強調し、国民の権利侵害の場合に法律の根拠を要求しました。しかし、3つの学説の中では、法律の根拠を要求する範囲が最も狭いので、法律による行政の原理を全うできないとの批判があります。
イ.権力留保説
公権力の行使といえる行政活動について法律の根拠を要求する学説です。一般国民ではなしえない行政機関による権力行使といえる場合には、たとえ権利侵害がなくても法律の根拠は必要とされます。
ウ.全部留保説
全ての行政活動に法律の根拠を要求する学説です。法律による行政の原理をまっとうすることはできますが、法律の根拠がなく行政活動が滞るおそれが3つの学説の中で一番高くなります。そのため、行政活動の機動性が失われるとの批判を受けます(設問参照)。
こんなところで法律留保の原則の話を終わりたいと思います。
3つ目は法規創造力の原則です。 世の中の一般ルール(法規)を作る権限は、国民の代表機関である国会が法律と言う形で作らなければならず、行政機関はこれを作ることが出来ないとする原則である。線路を敷くのは国会がしなければならず、行政機関が勝手に線路を敷いてはいけないということです。
話は長くなりましたが、今日はこんなところで。
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法律留保の原則において、国民の権利や財産を侵害する場合に法律の根拠を要するとの見解については、行政活動の機動性が失われるとの批判がある。(正解はすぐ下)
正解 ×
行政活動の機動性が失われるとの批判を受けるのは、設問に挙げた侵害留保説ではなく全部留保説である。
以下詳細な解説をしていきます。法律による行政の原理というものがあります。これは行政活動は国会の定める法律に基づき、法律に従って行なわれなければならないとする原理である。この原理は2つの理念に基づく。民主主義の理念と自由主義の理念である。行政活動を、国民の代表者の作ったルールである法律に従わせることは民主主義にかなうといえるからです。また、行政活動の暴走を法律が制御することは国民の自由を守ることにつながるからです。この原理は行政法の基本原理なのできっちり押さえましょう。
そして法律に基づく行政の原理は、具体的に言うと3つの原則からなります。1つ目は法律優位の原則、2つ目は本問で出題された法律留保の原則、3つ目は法規創造力の原則です。これらはいずれも法律と行政活動に関連する原則です。ここで、法律を線路、行政活動を電車に例えて話を進めていきましょう。
法律優位の原則とは、存在している法律に違反して行政活動を行なってはならないとする原則です。電車は線路を走っているかぎり脱線してはならないと言うことです。この原則はあくまで法律の存在している領域でのみ問題となるが、法律が存在しているかぎりあらゆる行政活動に妥当するものである。線路のある場所でしか脱線は問題とならないが、線路を走っているかぎりどんな電車でも脱線は許されません。
2つ目は法律留保の原則です。法律の根拠がなく行政活動は出来ないとする原則です。電車は線路のないところを走ってはいけないということです。
しかし、いかなる行政活動を行なうのも法律のお墨付きがないとできないのも問題です。例えば極端な話、役所の事務のねえちゃんが文房具一つ買うのにも法律の規定がないとできないのでは業務が滞ってしまいます。そこで、どの範囲で法律の根拠が必要か、学説上争いが生じます。主な学説は3つあります。
ア.侵害留保説(設問の学説)
国民の権利や財産を侵害する行政活動の場合にのみ法律の根拠を要求する学説です。自由主義の理念を強調し、国民の権利侵害の場合に法律の根拠を要求しました。しかし、3つの学説の中では、法律の根拠を要求する範囲が最も狭いので、法律による行政の原理を全うできないとの批判があります。
イ.権力留保説
公権力の行使といえる行政活動について法律の根拠を要求する学説です。一般国民ではなしえない行政機関による権力行使といえる場合には、たとえ権利侵害がなくても法律の根拠は必要とされます。
ウ.全部留保説
全ての行政活動に法律の根拠を要求する学説です。法律による行政の原理をまっとうすることはできますが、法律の根拠がなく行政活動が滞るおそれが3つの学説の中で一番高くなります。そのため、行政活動の機動性が失われるとの批判を受けます(設問参照)。
こんなところで法律留保の原則の話を終わりたいと思います。
3つ目は法規創造力の原則です。 世の中の一般ルール(法規)を作る権限は、国民の代表機関である国会が法律と言う形で作らなければならず、行政機関はこれを作ることが出来ないとする原則である。線路を敷くのは国会がしなければならず、行政機関が勝手に線路を敷いてはいけないということです。
話は長くなりましたが、今日はこんなところで。
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▼ 公法と私法
次の文章の正誤を答えよ。
普通地方公共団体の議会の議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,当該普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がない限り,譲渡することができる。


正解 ○
判例(最判昭53・2・23)は,議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,公法上の権利であっても,それが法律上特定の者に専属する性質のものとされているのではなく,移転が予定されている場合には,その譲渡性を否定する理由はないから,普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がないかぎり,譲渡することができるとした。
なお、行政上の法律関係について、伝統的な学説である公法私法二分論は、民法等私法が適用される範囲を明確に確定しようと試みたが、この学説は支持を失っている。現在では行政上の法律関係を、機械的に公法関係と私法関係に二分せず、個々の事例をケースバイケースで考察して、妥当な法規範を適用して結論を導くという考え方が主流である。
このように民法等私法が行政上の法律関係に適用されるかはケースバイケースとすると、実際に判例でどのケースに民法の適用があるのか一つ一つ確認しなければならない。主要な判例は以下の通りである。
・租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の適用は特別の事情があればありうる(S62.10.30)。
・農地買収処分に民法177条の適用はない(S28.2.18)。
・租税滞納処分に伴う差押に民法177条の適用はある(S31.4.24)。
・国の安全配慮義務の債務不履行責任については民法167条1項の10年の時効、会計法30条の5年の時効の規定のうち前者が適用される(S41.11.1)。
・公営住宅の使用関係について、民法上の法理である信頼関係の法理の適用はある(S55. 11.13)。
・公共用財産に対して時効取得できるかについては、黙示の公用の廃止があればできる (S51.12.24)。
・村道の通行を妨害している者に対する不法行為に基づく妨害排除請求はできる(S39.1.16)。
・議員報酬請求権は特別な禁止規定がない限り債権譲渡できる(S53.2.23)。
・耐火構造の建物について民法234条と建築基準法65条については、後者が優先して適用される(H1.9.19)。
まあ、このあたりの詳細は民法の知識あってこそ理解できる部分ですので、今は結論を押さえておくことでよろしいでしょう。
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普通地方公共団体の議会の議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,当該普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がない限り,譲渡することができる。
正解 ○
判例(最判昭53・2・23)は,議員の報酬請求権は,公法上の権利であるが,公法上の権利であっても,それが法律上特定の者に専属する性質のものとされているのではなく,移転が予定されている場合には,その譲渡性を否定する理由はないから,普通地方公共団体の条例に譲渡禁止の規定がないかぎり,譲渡することができるとした。
なお、行政上の法律関係について、伝統的な学説である公法私法二分論は、民法等私法が適用される範囲を明確に確定しようと試みたが、この学説は支持を失っている。現在では行政上の法律関係を、機械的に公法関係と私法関係に二分せず、個々の事例をケースバイケースで考察して、妥当な法規範を適用して結論を導くという考え方が主流である。
このように民法等私法が行政上の法律関係に適用されるかはケースバイケースとすると、実際に判例でどのケースに民法の適用があるのか一つ一つ確認しなければならない。主要な判例は以下の通りである。
・租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の適用は特別の事情があればありうる(S62.10.30)。
・農地買収処分に民法177条の適用はない(S28.2.18)。
・租税滞納処分に伴う差押に民法177条の適用はある(S31.4.24)。
・国の安全配慮義務の債務不履行責任については民法167条1項の10年の時効、会計法30条の5年の時効の規定のうち前者が適用される(S41.11.1)。
・公営住宅の使用関係について、民法上の法理である信頼関係の法理の適用はある(S55. 11.13)。
・公共用財産に対して時効取得できるかについては、黙示の公用の廃止があればできる (S51.12.24)。
・村道の通行を妨害している者に対する不法行為に基づく妨害排除請求はできる(S39.1.16)。
・議員報酬請求権は特別な禁止規定がない限り債権譲渡できる(S53.2.23)。
・耐火構造の建物について民法234条と建築基準法65条については、後者が優先して適用される(H1.9.19)。
まあ、このあたりの詳細は民法の知識あってこそ理解できる部分ですので、今は結論を押さえておくことでよろしいでしょう。
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▼ 行政法(附款)
こんにちは、街の法律家です。このブログは行政書士や公務員をめざす初学者受向けのものですが、将来弁護士など法律家を目指す高校生なんかにも読んでいただけたらと思っております。
また内容として完全に講義形式だけにするのも実力者にとっては退屈でしょうから、一問一答のカテゴリを新たに作り頻繁にアップしていきたいと思います。では、早速行政法の一問一答を。
次の文章の正誤を答えよ。
附款の一つである条件とは、主たる意思表示に付随して行政行為の相手方に対して、これに伴う特別の義務を課す場合をいい、道路占有許可に伴い、占有料の納付を命じることがその例である。 (答えは下へ)
正解×
行政行為につく従たる意思表示の部分(簡単にいうとオプションの部分)を附款という。附款には条件・期限・負担・取消権(撤回権)の留保などがあるが、本門のケースは負担の場合を指している。
ちなみに負担とは受益的行政行為に付される意思表示で相手方に特別な義務を命じるものをいい、条件とは行政行為の効果を発生不確実な将来の事実にかからせることをいう。たとえば、道路工事開始の日から通行止めにするような場合である(道路工事はあくまで将来のことであって発生不確実な事実だから)。
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